2025 展示室の4つの角に映写された4つのライブ配信、テキスト
部屋の角に興味を持ち始めたのはいつからだろう?
二人であちこち海外を旅して回っていた頃、朝や夜中にふと目を開けると、自分がどこにいるのか分からなくなることがよくあった(これは放浪するアーティストによくある現象だろう)。
床があり、上には天井があり、壁があり、どこの国でも大して変わらない箱の中に私たちはいつもいる。上野でもエジプトでもMoMAでもあまり代わり映えしない。
実際のところ右も左も上も下もないこの空間を、人工的にXYZ軸で区切り、正面、側面、床面の三面がぶつかるのが角だろう。
今この展示室の各角に映写されている部屋の角は、千葉にある私たち二人の自宅兼アトリエの現在の角である。
リアルタイムで配信している。時々私たちの気配を感じるかもしれない。
タイトルのAround The Cornerは、直訳すれば「角の周辺」になるだろうが「すぐそこ」を意味する。以前、海外からのメールに「Japan is not around the corner. 」とあったことが印象に残っている。
海外ほどではないが、千葉と高松、「すぐそこ」というには少し遠い。でもその距離を超え、プライベート/パブリックの壁も超え、「今」の角をつなげる。
どうなるのだろう?
(展示ステイトメントより)
展覧会
2025 高松市美術館、香川